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「マイトマ」この単語を聞くのも何年振りだろうか。かつて三大RPGの一つと呼ばれ隆盛を究めたこのシリーズも3DOが失って久しい。FPSが市場を賑わせ、RPGと呼ばれるタイトルが軒並みオンラインゲーム化している現在、シングルのRPGは細々と酔狂なメーカーによって開発されている状態で往年のRPGファンにとっては悲しい限り。 そんな中、地底探検RPG「Arx Fatalis」を開発したArkaneStudiosが「マイトマ」のタイトルを引っさげ、スタイリッシュなFPS(First Person Slasher/Striker/Speller/Sneaker)として、この度、参上仕った。墓場で記憶と共に安らかに眠らせてやれよなんて野暮な事は言わせない。UBIの拝金臭が止めどなく溢れているが素直に再訪を喜ぼうではありませんか。マイトマお帰りなさい。 デモをプレイすれば一目瞭然だが、これはTESシリーズのような自由度のあるRPGではなく、Legend of Might and MagicとArx Fatalisを足したプレイ感覚に、いま流行の技術や演出を取り入れた純然たるFPSである。エリア毎に多少のルートが分かれているだけで、努めて台本上を進んでいく。選択によって、途中から展開が大きく変化する要素はない。(一応ラストだけはお粗末ではあるが、選択によって展開が分岐する) 序盤は世界観やゲームに慣れさせるためにシネマチックな演出重視で進められる。中盤辺りから強制的な演出等は少なくなり、次第に探索・戦闘の方に比重が置かれていく。他のFPSでは探索途中に演出を挿入しすぎて、探索・演出どちらにも集中できずにグダグダした展開を感じるものもあるが、DMOMMでは丁度探索に疲れてきた頃にダイナミックなイベントが挿入されるなど、緩急がうまく取れていると言えるだろう。
演出の内容に関して、ファンタジーという最近のFPS(過去にはファンタジーFPSも沢山あったが)では異端のジャンルを選択した事が有利に働いている。ファンタジーという題材を最大限に生かした演出から伝わってくる印象の違いは大きく、昨今のFPSのスタンダードであるSF・ホラー・戦争等…の在り来たりの二番煎じに辟易している人も新鮮に感じるはず。 ロケーションは晴天の広がる孤島・夕焼けに彩られた街並み・自然の植物がぼやっと光を放つ鍾乳洞・多重構造で見上げるほどの城・人々に忘れ去られ放って置かれたまま長い年月が感じられる神殿など、思いの外豊富。特に洞窟や神殿内の周囲に漂う空気感が抜群で、ライトスポットの効果・光に舞う蛾のアニメーション・埃っぽい視覚効果がリアリティを生み出している。しかし構造物やオブジェクトに関しては一貫してハリボテ感を感じる作りで(特に遠景)、ディティールや見せ方の練り込みが足りない。 スニーク重視のゲームデザインの為、暗くジメジメした場所が多く、暗視魔法のダークビジョンを多用しなければ見えづらい場所が目立つ。だが、これについては視覚的な効果に有利に作用していると感じた。何故ならどんなに優れたグラフィックだとしても小一時間もプレイすれば意識しなくなってくるのがFPSでの常。シューティングに集中するのに比例して、視覚から得られる情報量は減少していく。FPSをプレイする人の中にはそう感じる事があるはずだろう。しかし、ダークビジョンの青白い暗視効果を途中で挟む事によって、色を帯びた世界との対比が生まれ、より詳細な部分の作り込みに改めて気づくこともある。これによって神秘的で美しいDMOMMの世界を何度も反芻できるのだ。これは現実でも色眼鏡やサングラスを外した時に感じる印象と似ている。
中盤に入手するロープボウは矢を木に射ってロープを吊り下げることができる優れもの。(Thiefに登場したロープアローを想像すればいい)高所に登ったり、安全に降りるシーンで駆使する場面がある。敵に見つかっても、ロープを登ることで煙りに巻くイレギュラーな使い方もできる。これは自分で道を切り開いて探検しているという感覚を強く意識させてくれるガジェットだ。シークレット要素が多分に用意されているので、怪しい所はとりあえず調べる癖をつけるといいかもしれない。 ジャンプアクションを要求するところが少なからずある。DMOMMは距離感が掴みやすかったため、それ程シビアには感じなかったが、一ケ所だけ時間的に余裕のない強制的なイベントと同時に要求される場面があった。逐次オートセーブ仕様のお陰でやり直しが容易で助かったが、何度も何度も死んでトライアンドエラーを繰り返すのはスマートとは言い難い。(これは個人の操作によるところが大きいが) 武器製作のイベントが用意されている。(Arx Fatalisでもありましたね)鉱物を溶かし・型入れ・鍛冶押し・仕立てと一連の行程を自らの手で行い、武器ができ上がっていくプロセスは非常に楽しく、でき上がった武器には愛着が持てるというもの。映画的な演出やイベントよりも、鍛冶できる事に一番感動を覚えたのは私だけだろうか。
今までのFPSでは近接戦闘はオマケでしかなかった、たとえ近接戦闘重視のものだとしても(KING'S FIELD、前述のLegend of Might and Magic、Arx Fatalisなど)、攻撃の動作や間合いに違和感を覚えるものばかりであり、腕だけを振ってるようなぎこちなさが残っていた。その点、DMOMMでは一人称視点での体感度が特に優れている。武器を振り回せばこうなり、ダメージを受けたり、投げ飛ばされればこうなるはずだというのがしっかり伝わってくる。身体全体を使って、攻撃しているような絶妙な感覚を体感させてくれるのだ。 アドレナリンが溜まれば一定時間内は強打することで敵を一撃で倒すことができるようになる。一撃を与えた敵は四肢が千切れ、血がより多く飛び散り、視覚的にも爽快感を感じさせてくれる。武器や防具の中には炎・氷・電撃・毒・吸収等の属性が付加されたものがあり、うまくヒットすれば敵に状況変化を起こすことができるので積極的に使っていくといい。 戦士タイプで進める場合は、回復手段がヒールポーションかレーションしか望めないため、ヘルス不足に陥る危険性もある。バイタリティ(自動回復)スキルはなるべく早めにとっておいた方がいいだろう。
ゲームを進めていくとスキルポイントを入手していく。これは新たな魔法や技能を覚えるのに必要だ。得られるポイントは決まっているので、考えて使わないと後々戦闘で苦労するだろう。強い装備はスキル熟練度によって、装備できないものが多いので注意したい。どっちつかずの魔法戦士ははっきり言ってお薦めできるとは言いかねる。 ゲーム中にはサイドキックと共闘する場面も出てくるが、進行の邪魔になることばかりでうまく作用しているとは思えない。重要キャラクターが死ぬとゲームオーバーになるので、ストップ命令をかけて敵を片付けてから呼んだ方がいい。もちろんステルス行動を妨げる心配を避ける為でもある。
敵は初めから一定場所を巡回しているか、立ち話をしているなどのスニーク攻略できるような配置で、台本通りに強襲(いわゆるスクリプトスポーン)してくる場面は少ない。うまく遠くから射って、一人一人片付けていくのがモアベターだ。仲間が倒れると、傍によって死体を調べ始めるので、いい鴨になる。ひとたび見つかれば、仲間を大量に呼んで(スポーンして)襲ってくるので、戦士タイプで複数相手に立ち回るのは少し苦しいかもしれない。そういう時は、あからさまに置いてあるトラップを有効活用するといい。周りをきちんと見渡せば用意された仕掛けの多さに気付く。敵の猛攻が激しいと感じる場面でも反対方向を調べてみれば思わぬ解決策が見つかる場合もあるだろう。 敵のAIは一度プレイヤーを見つければ、しつこく追ってくるし、完全に視界から隠れれば、巡回体勢へと戻るルーチンワーク。敵に発見される境が分かりづらいものの、戦闘面での動作は良くできている方だろう。プレイヤーが後退しながら弓で攻撃すれば盾で防御しながら迫ったり、主人公が高い場所に居れば弓・魔法・投石で執拗に攻撃してくる。 ボスは大小合わせて6体ほど。FPSにしては多いだろう。だが、トラップ使用前提の煮え切らない倒し方のボスばかりであり、ボスの体力も少なく一瞬で決着がつくため、ガチンコの熱い対決は望めない。ラスボスにしても引き際が良すぎるきらいがある。もう少し往生際の悪さを見せて欲しかった。難易度ハードでプレイすれば体力も若干上がっているように感じられるが、まだまだ物足りなさを感じる。
総じて70〜80点。剣劇の楽しさに尽きる。Thiefシリーズのようにスニークで進むことも出来れば、緊張感のある駆け引きの面白いアクション性の高い戦闘もあり、ド派手な魔法で蹂躙したりなどプレイヤーによって局面毎に様々な攻略のスタイルを選ぶ事ができ、ファンタジー色を活かした小気味良い演出でプレイヤーを楽しませてくれる洗練されたアクションアドベンチャー。豊富にスキルが用意され、レベルの作りは他方から攻略ができるように丁寧に作られているのでリプレイ性も高い。そして今まで微妙な立ち位置と言えた一人称での近接戦闘にひとつの正解を現したと言っていい、没入度の高いプレイ感を与えてくれた点に評価したい。 不満はボリューム不足。プレイ時間は10時間ほどかかったが予想外に戦闘を楽しめたため、一気にプレイしてしまい、とても短く感じてしまった。まだまだ戦い足りない!というのが正直なところ。
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